お子様の口臭について
お子様と一緒に来院される保護者の方から「子どもの口が臭くて心配なのですが……」という相談を受けることがあります。
大人の口臭の主な原因は歯周病ですが、お子様の口臭の原因は以下のようにさまざまです。
鼻で呼吸せずに、口で呼吸する習慣がついてしまった状態が口呼吸です。口呼吸は、口の中が常に乾いた状態になって菌が繁殖するため、口臭を引き起こします。口呼吸は子どもの口臭の原因で一番多いといわれています。
就寝中、お子様が口と鼻どちらで呼吸しているか確認したり、日常的に口を開いたりしていないかチェックしましょう。口呼吸の原因が口周りの筋肉が弱いことや単に口で呼吸する習慣がついていることである場合は、ガムを噛んで鍛える、睡眠時に口専用のシールを貼るなどの対処法があります。
鼻づまり・鼻炎・アレルギー
口呼吸の原因が、アレルギー性鼻炎や喘息などの呼吸器に関わる病気であったり、アデノイドという部分の肥大や蓄膿であったりすることも多いです。
頻繫にいびきをかくなど睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合も、口呼吸になりやすい傾向があります。鼻づまりなどの症状は耳鼻咽喉科と歯科の連携が必要となるため、歯科医院と耳鼻科それぞれに通院して治療します。
歯並び
上顎前突(出っ歯)はどうしても口が閉じにくいため、口呼吸になりがちです。放置すると常に口がポカンと開いた状態になったり、口呼吸が原因の口臭にもつながったりするため、すみやかに受診して矯正治療などの適切な対処を行うことが大切です。
消化器系の病気や風邪
口臭の原因が風邪などで胃腸が弱っていることや、消化器系の病気が影響しているケースもあります。また、服薬によって胃腸に負担がかかっていることから口臭につながることもあります。この場合、十分に身体を休めて回復に努めたり、内科や消化器内科の受診で改善したりすることもあります。
むし歯や歯肉炎、ストレス
歯みがきの際の磨き残しが蓄積され、むし歯や歯肉炎で口内環境が悪化したことが口臭の原因となる場合もあります。特に、お子様が一人で歯みがきをしていると磨き残しが多く出やすいので、仕上げみがきが必須です。小学生になると嫌がるお子様もいますが、10歳頃までは欠かさないようにしましょう。
また、ストレスを強く感じることで唾液の分泌が低下し、口臭につながることもあります。お子様がストレスを感じていることが何かないか、注意深く観察してください。また、保護者の方やご家族のストレスがお子様にも伝わっているというパターンもあるため、ご家庭全体でストレス解消方法を見直す機会を作りましょう。
糖尿病
糖尿病によって生成される物質が原因で、口臭が強くなっていることも考えられます。お子様の糖尿病には、先天的に発症する1型糖尿病と、肥満や食生活の乱れから後天的に発症する2型糖尿病があります。2型糖尿病の場合は食生活や運動習慣の見直しが大切なので、保護者の方による家庭での取り組みが必要となります。
生理的口臭
ニンニクやキムチなどのニオイの強いものを食べた後に口が臭うといった、ごく普通の生理反応です。お口には唾液による自浄作用が存在するため、唾液の分泌が低下していなければ、食べ物による口臭はある程度緩和されます。また、ガムやスルメなどを噛んで顎や頬の筋肉を鍛えたり、頬の上から奥歯のあたりをマッサージをしたりすると、唾液線が刺激されて分泌量が増えます。