親知らずの抜歯
親知らずとは、大臼歯の一番奥に生えてくる第3大臼歯のことで、中には生まれつき存在しない人もいます。顎のスペースはすでに生えている歯で埋まっているため、親知らずが生えてくると手前の歯に悪影響を及ぼします。親知らずは横や斜めなどのさまざまな方向に生えているので歯みがきがしにくく、むし歯や口臭の原因になってしまうこともあります。
親知らずを早く抜いた方が良い理由
親知らずは18〜23歳頃から生えてくるので、20代前半までに抜歯するのがおすすめです。
年齢を重ねるにつれて歯は硬くなるため、親知らずを抜くタイミングが遅くなるほど抜歯に時間がかかるようになります。また、20代と30代以降では回復力が違うため、年をとるほど傷口がふさがるまでに時間がかかるようになります。
そして親知らずの抜歯が遅くなると、下顎管を傷つけるリスクも大きくなります。親知らずの根元は年齢を重ねるにつれて、大きな神経が通っている下顎管に近づきます。根元が完成しきっていない段階で抜歯すれば下顎管を損傷するリスクは抑えられますが、下顎管近くで根が完成してしまうと抜歯による損傷のリスクや麻痺のリスクが高くなるのです。
親知らずの抜歯のメリット
①口臭を予防できる
歯みがきの際に磨き残しがあると、口臭の原因になるプラークという細菌が作られます。
特に横や斜めに生えた親知らずがあると、歯ブラシが入りにくい歯周ポケットができてしまい、磨き残しが出やすいため、口臭につながります。親知らずを抜くと磨き残しを減らすことにつながり、口臭予防になります。
②歯周病のリスクが下がる
親知らずが横向きや斜めに生えると、その下へ食べカスが入り込み、歯周病や炎症を起こしやすくなります。放置すると周りの骨を溶かすこともあり、隣の歯まで抜けてしまうこともあります。親知らずを抜くことで、こうしたリスクを減らすことができます。
③むし歯予防になる
親知らずとその隣の歯の隙間に食べカスが溜まるとむし歯になりやすくなります。症状が進むと隣の歯の根っこ部分もむし歯に侵されてしまい、隣の歯まで抜歯しなくてはならなくなります。また、親知らずの生え方によっては、むし歯治療の妨げになることもあります。早めに抜歯をすることでそうしたリスクを減らせます。
④小顔効果
親知らずを抜歯することで隙間ができ、歯を支えてる骨が痩せるため、人によっては顔がシュッとして小顔効果がみられます。
⑤早く抜くと骨が残る
親知らずを抜歯すると、親知らずの生えていた部分の骨は身体に吸収されてしまいます。
炎症が進行してから親知らずを抜歯すると骨の吸収が大きくなります。
年齢が20歳前の早い段階で抜歯をすれば、親知らずの手前の歯の骨の吸収が少なく済み、歯の寿命を延ばすことに繋がります。
また、早い段階で抜歯をすれば時間もかからず、身体への負担も少なくなります。
親知らずの抜歯の腫れや痛み
親知らずを抜く際は麻酔をしているので大きな痛みを感じませんが、人によっては腫れることもあります。
痛みへの対処
抜歯当日に痛みがある場合は痛み止めを服用して、なるべく安静に過ごしましょう。何度もうがいをすると、抜歯後の穴にできたかさぶたが取れて骨がむき出しになる「ドライソケット」になってしまい、激痛を感じることがあります。抜歯後3日間は、患部を触ったり、うがいをしたりするのは避けましょう。
腫れへの対処
通常の向きで生えていた親知らずであれば、腫れる可能性は低いでしょう。横向きに埋まっていた親知らずは、抜歯から4日後以降、腫れが引いてきます。
気をつけたい、抜歯後の食事
抜歯後の食事は、出血がなければ抜歯後30分から可能です。ただし、麻酔が効いていて感覚が麻痺しているため、抜歯から4時間後までは火傷しないように食べ物の温度に注意し、頬の内側を噛まないようにしながら食べてください。
抜歯当日~3日後の食事
痛みや腫れがあったり、下に埋まった親知らずを抜いたりした場合は1~2週間程度口を開けにくくなることがあります。その間は柔らかいメニューにし、傷に触れないよう抜歯した反対側で食べるようにしましょう。
口が開けにくいと、ついストローを使いたくなりますが、吸うことで抜歯した部分のかさぶたが取れてしまう可能性があります。ストローは避けて、コップなどを使いましょう。
口内炎
口内炎がひどくなると、食事がしみて痛んだり、話をするのも苦痛になったりします。口内炎の原因には、外傷やウイルス、アレルギーなどがありますが、一般的に多いのはアフタ性口内炎と呼ばれるものです。
アフタ性口内炎が発症しやすくなる条件
1歯みがきが足りない
口内に食べカスが残ると口内細菌が繁殖し、口内炎ができやすくなります。その状態で口内を噛んだりして傷ができると、すぐに口内炎になってしまいます。食後や就寝前にはしっかり歯みがきをして、口内を清潔に保ちましょう。
2歯みがきの力が強すぎる
ゴシゴシと歯みがきをしてしまう方は要注意です。強い力で磨くことで、歯ぐきや頬の内側に無数の傷ができてしまい、細菌が繁殖して口内炎になることがあります。歯みがきの強さは、歯ブラシを小刻みに動かす程度で十分です。
3口内が乾燥している
唾液には細菌の繁殖を抑える抗菌作用があります。そのため、口内が乾燥して唾液が少なくなると、細菌が繁殖しやすくなってしまいます。特に緊張やストレスを感じると唾液の分泌が低下しやすくなるため、そうしたシチュエーションではあごの骨の内側のくぼみにある唾液腺を両親指の腹で突き上げるように押し、唾液の分泌を促しましょう。
4コンビニのお弁当をよく買う
コンビニで食事を買うと、お弁当やパスタ、おにぎりなど炭水化物が多くなりやすく、ビタミンが不足してしまいます。特にビタミンB2には粘膜を保護する働きがあるので、口内炎になりやすい人は必ず摂取しておきたい栄養素です。コンビニのお弁当を食べる時は、ビタミンB2が含まれる納豆や卵、乳製品などを併せて食べるようにしましょう。
5過度の飲酒・喫煙をしている
アルコールの分解・代謝には大量のビタミンB群を消費します。また、喫煙すると体内のビタミンが破壊されます。過度の飲酒や喫煙は口内炎を誘発するため、できるだけ控えましょう。
6免疫力が低下している
睡眠不足や過労、ストレスを感じることが続くと、体力や免疫力の低下につながり、口内炎ができやすくなります。規則正しい生活を心がけるとともに、ストレスを発散する時間を作ると効果的です。
7ペットボトル飲料の直飲みをしている
口をつけて飲んだペットボトル飲料を数時間放置と、細菌が繁殖します。それを飲むことで口内にも細菌が増殖し、口内炎ができやすくなってしまいます。ペットボトル飲料は直飲みせず、コップを使うようにしましょう。